第4章 期待の大型新人
そんな事もありながら、
無事に鮫塚学園との合同練習は終わった。
それから数日後、
竜ヶ崎怜は岩鳶高校水泳部のメンバーとなったのだった。
竜ヶ崎は遙先輩の美しい泳ぎに魅了されたようで
遙先輩に嬉しそうに声をかけていた。
確かに遙先輩の泳ぎキレイだったなぁ。
私はそんな事を考えながらぼーっとその様子を眺めていた。
すると竜ヶ崎はこちらにも歩み寄ってきた。
「えぇっと…西島楓くん!」
「ん?何?」
「貴方の泳ぎにも感動しました!以前からTVで見ていましたがそれにも増して美しかった!!」
竜ヶ崎は目を輝かせてそう言った。
一瞬『慰めか?』とも思ったが、竜ヶ崎はそんなキャラじゃないし、私を慰めるためにこんな顔でそんな事を言うほど演技力はないと思う。
そう思うとなんだか急に照れくさくなってどんな顔をすればいいかわからなくなった。
「おう…ありがとう…。怜。」
小さくうつむきながらお礼を言うと、
渚が抱きついてきた。
「ほーんと!楓ちゃんの泳ぎはすっごいキレイだった!」
「あぁ。TVでみるよりずっと…な。ねぇ、ハル。」
続けて真琴先輩が口を開く。
「…あぁ。」
遙先輩はボソっとそう言ってくれた。
何だか心がほっと軽くなった。