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緋寒桜散り行く日陰。☆Free!

第2章 泳ぐのは『好き』ですか?


短く切った髪にさっと指を通す。

少し大きなズボンに足を通し、
大きめのシャツと大きめのジャケットに腕を通す。


「あのさ、母さん、制服めちゃくちゃデカいんだけど…。」


「いいのよ!楓!男の子は高校生から身長が伸びるんだから!ねぇ!お父さん!」


「あぁ。」


少し前まで住んでいた都会を離れ、
私は小さな海辺の町へと越してきた。


母の精神病の治療のためだ。


「楓!忘れ物はない?」

「うん。ないよ。母さん。」


母は私のネクタイをきちんと調えると、
笑顔でお弁当箱を渡す。


「ありがとう。母さん。行って来るよ。」

「えぇ。いってらっしゃい。楓。」

「俺も、もう出るよ。」


私は父と二人で家を出る。
振り返れば母が嬉しそうに手を振って見送っている。


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