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緋寒桜散り行く日陰。☆Free!

第4章 期待の大型新人



「いってきまーす!」
いつもより少し早く家を出る。


「あら!楓!早いのね!」
お母さんが慌てて玄関の方へやって来る。


「うん!今日から部員勧誘するからね!」
私は靴に足をねじ込むと振り返り真っ直ぐお母さんを見た。


「ふふ、楓がまた水泳はじめてくれてお母さん嬉しいわ。」
母は嬉しそうに笑った。


その顔に思わず胸が痛くなった。


あぁ、そんな笑顔、
私には一度も向けてくれた事なんてなかったな。


今だって
紅葉にではなく
楓に向けて向けられている。



「…楓?」


「あ、ごめん!お母さん!いってきます!」

私は慌てて玄関のドアに手を掛ける。



「あ!そうだ!楓!昨日、渡し忘れてたんだけど、紅葉からお手紙来てたわよ!」


その声に足を止める。



母は慌ててリビングに戻ると、
またバタバタと玄関に現れた。


そして私に一通の手紙を渡した。


「ありがとう、母さん。いってきます。」


私は手紙を受け取ると家を出た。







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