第4章 USBメモリ
大野side
次の日、ロビーの集合時間にギリギリで行った。
だって、松本くんの顔が絶対に見られないと思ったから。
あんな…あんなことに使ってしまって、申し訳ない気持ちが止まらない。
でも気持よかったのも身体が覚えていて…
もっこりしない自信がない。
二宮くんが点呼を取ってくれて、また観光バスに乗り込んだ。
今度は一番に入って、一番後ろの席に座った。
松本くんとは席が離れて、ほっとしたところでバスは走りだした。
ガイドがなにやら説明している声を枕に眠ってしまった。
だって昨日、全然眠れなかったから…
気がついたらバスは止まってて。
周りが薄暗い。
一体どうしたんだろうと焦っていたら、隣に温かい感触。
「うわおっ…」
俺の隣に松本くんがいた。
座席に乗って足を伸ばして眠っている。
爆睡だ。
周りを見渡したら、そこはどうやら立体駐車場で。
もしかして…置いていかれた…?
よくわかんないから、俺は諦めた。
そっと左手を伸ばして松本くんの髪に触れた。
いかん…こんなことしたら、ますます…
そう思うのだけれど勝てない。
気がついたら、松本くんの前髪をかきあげ額にキスを落としてた。