第2章 温度計
大野side
バタバタバタっと松本くんは部屋から居なくなった。
俺は呆然とベッドの上から見送るしかなかった。
ふと気づくと、俺の手元には松本くんのタブレットがあった。
「あいつ…どうすんだよ…」
会社から支給されてるスマホを手に取ると、松本くんにメッセージを打ち込んだ。
”タブレット忘れてるぞ”
そこまで打って、後どう打っていいかわからない。
チェックしてる俺の顔をじっと真剣な目でみて…
途中から頬を染めてポーッとして…
かわいかったなぁ…
「うわぉっ…」
か、かわいい…!?
俺、いま、なんつった!?
顔が赤くなる。手で思わず口を覆う。
俺…もしかして松本くんのこと…?
「嘘だろ…」
手元のスマホをみたら、メッセージを送信してた。
驚いた拍子に送ってしまったのだろう。
呆然としてたら、玄関から物凄い音が聞こえて松本くんが現れた。
俺の手からタブレットを奪おうとして、足元のテーブルに躓いて俺に覆いかぶさるようにコケてきた。
ふわりと松本くんのつけてる控えめなコロンの匂いが漂ってきた。
「お…大野さん…」
唇…
今、ぶつかった…
松本くんと…キスした!?