第8章 プレゼント
大野side
「あのな、潤…」
潤は真剣な顔をして俺の方を向いている。
…やっぱり、離れるなんてね。できねえや。
「ニューヨークなんだけどさ…一緒に行くか!」
「智…」
「でも仕事辞める必要ねえからな」
「えっ」
「ジュリーの部署、今、日本人アシスタントが居ないから、おまえも一緒に来いってさ」
「えっ…でも5課は…」
「大丈夫、部長がなんとかするって」
「でも…本当に俺が行っていいの?」
「当たり前だろ。俺のパートナーは潤しかいないんだから」
潤の腕を掴んだ。
「一生、一緒にいてくれるか」
「…もちろんだよ」
「俺もおまえについていくし、おまえも俺についてこいよ?」
「…向こうに行ったら、智より出世してやる」
「おお、望むところだ!かかってこいや~!」
出会って、一年。
俺たちは男同士だけど、お互いに惹かれ合ってこうやって一緒にいる。
それは奇跡にも近いことで…
ここにいる。
ここに潤が居てくれる。
「潤…あっち行ったら、手ぇ繋いで外出れるな」
「ふふ…堂々とね」
目を合わせて笑い合う。
こんなことが…本当に幸せで。
「愛してるよ…」
抱き寄せて、一つキスを落とした。