第12章 新しいスタート
いろんな意味を込めて、そう言った。
翔は俺の顔を見つめ、その目から、幾つもの綺麗な涙の粒を零しながら、
「俺も...一生、雅紀を守ってく...愛してるよ...」
俺たちは、融け合うくらいに抱き締め合った。
もう離れない...
俺たちを繋ぐ絆は、何があっても揺るぐことはない...
出会いは、4歳の時。
初めて出会った時の翔は、人形みたいに可愛かった。
小さくて、泣き虫で、
俺たちが...
俺が守ってやらなきゃ、って、4歳なのに、そう思えた。
人形みたいに大きくて可愛い瞳の男の子と、
ずっと一緒に居たいって...
理由も分からないままに、そう思っていた。
月日は巡り、離れているときもあった。
バスケで疲れて、翔のことを思い出さない日もあった。
でも、
それでも、やっぱり忘れたことはなかったんだ...
辛い出来事も、
悲しい日々も、
ここへ来るまでの、大切な階段だった。
再び手を繋ぐための、回り道...
大人になった今、
はっきりと分かるよ...
4歳の自分が、どうして翔に惹かれたのか...
可愛いとか、小さいとか、そんなんじゃない。
きっと、俺たちはふたりで一つ...
こうして出逢う前は、俺たちは多分、一つだった。
だから、どんなに離れていようとも、
生活が変わってしまっても、
俺たちは、また一緒に歩く運命...
翔が寝息を立てて眠っている。
口を少し開けてさ、
子どもみたいなあどけない顔で。
さっきまで、俺の下で喘いでたなんて、微塵も感じさせない無垢な寝顔。
その可愛い唇をそっと奪うと、
翔はほんの少しだけ笑った。
.....この幸せが、いつまでも
永遠に続いていくことを祈りながら、
俺も目を閉じた。