第4章 別路
そう言って、幸助が、取り出したのは綺麗な櫛だった。
「どうしたの、それ?」
「餞別に、お前にやろうと思ってたんだよ。ま、俺の事はどうでもいいみたいだから、いらないだろうけどな。」
「ちょっと待ってよ。そんな事は言ってないじゃない!ただ…なんかあんたに会うと、行きたくたくなるからよ。」
「それならそうと素直に言えよな。俺のことがそんなに大事なのか?」
「違うわよ!あんたがいつも馬鹿なことするから、心配なだけ。……それはそうともう行かないと。」
「そうか。お前ほど馬鹿じゃないけどな……まあとにかく、頑張れよ。」
「私もあんたほどは馬鹿じゃないわよ!……櫛有難う。大切にするから」