第2章 ifの願い(コムイ)●
「…アレンくん、AKUMAは?」
「…今は大丈夫です。」
「コムイ…良いんか…?」
店に背を向け、歩き始める僕にラビが声をかけてくる。
わからない。
「ラビ、ありがとう。キミのお陰で挨拶もできたし、僕は充分だよ。」
「全然できてねぇだろ。」
「…良いんだ。ありがとう。」
「でも…!」
「ラビ。」
声を上げるラビをアレンくんが制止する。
これで良かった。
彼女をこちらの世界に巻き込むわけにはいかない。
それに色恋に心を奪われている時間があるなら、もっと、みんなのために、教団のために、この世界のために勤めるべきだ。そうすることで間接的にでも彼女を守る事もできる。
だからこれで良い。
わからないけれど。
これで。
教団に戻り、2人に礼を言い別れると、白衣に腕を通す。
ポケットのペンと貰ったインクに手を伸ばすと、それをそっとゴミ箱へと落とした。