第11章 10月10日
「痛いってばね~!」
間に合ったことに安心していると、クシナの叫びが聞こえて来た。
もう、物語は動き出している。
私は、辺りを警戒した。
(来た!)
仮面を被った男が現れて、あっという間に木ノ葉の忍びを亡きものにする。
『待て!』
私は、震える足を叱咤して、そいつの前に飛び出した。
『ここから先は行かせない!』
私は写輪眼を発動させた。
男は突然現れた私に驚くことなく、クシナのもとへ向かおうとしていた。
(この男に私の火遁が通じる訳がない。
勿論体術も。)
『止まれ!』
私は覚悟を決め叫んだ。
男は私の言葉に従い歩みを止める。
そして、驚いたように私をみた。
私は、使わないと母と約束した言霊の力を使っていた。
(運命を変えられるなら、たとえ死んでもかまわない。二人が助かれば、ナルトが孤独になることはない、そしてシスイ、父もうちはも助かる。)
一度死んだはずの私だ、未練がないと言えばうそになるが、大切な人たちを守る為なら命は惜しくなかった。