第43章 終末での始まり
sideーカカシー
里に戻ってきてサスケとナルトを病院に預けた俺は慰霊碑の前に来ていた。
「……俺も上忍になって部下を持つ身になったが……昔のまま…いつも後悔ばかりだ…
この目があってもちっとも先なんて見えやしない…」
[先生、大分オビトの眼を使いこなせるようになりましたね?]
ふと、ルミに言われた言葉が蘇る。
「お前が生きてたら……
今の俺に何て言うんだろうな…なあ…
オビトよ。」
俺は空を見上げた。
オレンジ色になり始めた空に、親友、そして里を抜けた教え子を思う。
ふいに、温泉の手伝いが任務だった時にルミが言っていたことを思い出した。
愛が欲しいくせに、愛を信じられないと言っていたルミ。
一番大切なものを自分の為に捨ててくれれば信じるかも知れないと言っていた。
[先生だったら……里ですかね。]
俺はルミの言葉を思い出していた。
「……こんなことになって気づくなんてな……」
俺は一人呟いた。
七班の中でも、護ってやりたい思いが他の子供たちより強いのは、誰より儚くて孤独に見えたからだけだと思っていた。
だが、実際は違ったようだ。
俺はあの、優しくて、大人びている癖に班で一番子供っぽい、いつもどこか悲しそうな目をしたルミに惹かれていたのだ。
「…一回りも年下にね……」
俺は思いがけず知った自分の思いに呆れてため息をついた。
(……ルミ、俺はお前を闇から救いたい。)
俺は日が落ちるまで慰霊碑の前で佇んでいた。