第43章 終末での始まり
「……どうしても行くってんなら、力ずくでも止める!」
サスケはそう言うと私に攻撃を仕掛けて来た。
『……クッ…』
術を使わず体術で仕掛けてくるサスケに私は戸惑った。
正直、女の体ではスピードも力も男であるサスケに劣る。
それに、血継淘汰の力と写輪眼を使わなければ、私の実力は中忍程度まで落ちるかもしれない。
私は体術でサスケに押されていた。
(……実力はそこらの中忍以上…でも、写輪眼を使いこなせていない)
私はサスケの動きのなかに粗を見つけてそこを攻めた。
「……ぐっ…」
私の蹴りがサスケの鳩尾に入る。
サスケは後ろに飛びながらもしっかり着地した。
片手は腹を庇うように押さえていた。
『……水遁・大砲弾!』
私は印を組むと術を放った。
口から水弾をいくつも飛ばす。
サスケはこのくらいの術で死ぬことはないだろう。
「……豪火球の術!」
"ジュッ……シュー"
サスケが放った火遁と私の術がぶつかり合い蒸発した。
「グハッ」
だが、私は続けて同じ術を放っていた。
後から放った水弾はサスケにあたる。
サスケは後ろに吹き飛ばされ、倒れたまま起き上がらない。
「……ルミ、お前はオレにイタチの真実を教えてくれた…オレはお前のお陰で憎しみから解放されたんだ…なのに、そのお前が憎しみとらわれてどうすんだ!」
サスケはゆらりと立ち上がるとそう言った。
「……ルミ……どうすればお前は憎しみから解放される?」
そう言ったサスケの目は切なさに彩られていた。
『……』
私はサスケに何も言えなかった。
サスケと私の視線が絡む。
「……お前はオレが闇から救い出す!」
何かを決意したようにサスケが言った。
その時、サスケの写輪眼のなかに、巴が一つ増えた。
(完全な写輪眼になったか。)
私はそれを見て安堵した。
これでサスケはまた強くなる。
サスケの写輪眼が三つ巴になった為、私はサスケと戦う理由がなくなった。
後はもう、サスケに傷をつけないようにここを去れば良い。
『……サスケ、イタチを助けたかったら私より強くなってイタチを守るか……私を殺す事だね。』
私はそう言うと、写輪眼を万華鏡写輪眼に変えた。
サスケは私の眼を見ると意識を失った。