第2章 プロローグ
「いーちに、さんしー」
「「『ごーろく、しちはち」」』
時刻は午前7時。
私、志々目ルミは長袖、短パンと言った格好で屈伸していた。
周りでは、同じクラブの仲間たちが同じように屈伸していた。
前に出て号令をかけている下級生に合わせ、沢山の人数が同じ動きをしている。
大学生になっても、こんな風に集団行動するのって運動部ならでは、だよなー。
何て考えつつ体操を続ける。
コーチ「よし、今日はグラウンドに移動してダッシュするぞ!」
体操が終わるとコーチがそう指示を出す。
『げっ』
ダッシュが苦手な私は思わず声をもらす。
周りでも、何人かが、え~、と言っているのが聞こえた。
それでもやはり、全員素早くグラウンドに向かった。
グラウンドに着くとなんグループかに分かれ、コーチの合図でダッシュする。
私はどのグループでも常にビリだ。
やはり今日もビリ。
『ハァ、ハァ、』
息を切らしながらゴールする。
だいたい、後1、2本で終わりだろうと予測する。
『ゴボッ、ゴホゴホッ。』
息を整えるが何時もの咳が出てきて余計に息があがる。
(後2本ならいけるだろ!)
私はそんな事を考えながら、コーチの合図で走り出した。
相変わらず、呼吸のたびにヒューとか、ガラガラと言った音がする。
(きっつい…、けど、何より恥ずかし~!)
周りに聞こえませんように!
なんて祈りながら、私はその日の朝練習をやりきった。