第39章 雪の国と春
『……綺麗ですよね……
……ただの春じゃなくて、親から子に繋がれた夢の季節だから余計に…………』
私はそう言って前を向いた。
暖かい風が私をなでる。
私は思わず、歌を口ずさんでいた。
『歩き疲れて、振りだす雨…つかみ損ねたうさぎを追って…
ーーーーーーー家へ帰ろう、明日になれば…大丈夫って笑っているかな?
名前を呼んで 呼んで 抱きしめるよ……思い出して 目を閉じて……幼い頃……』
(やっぱりここはこの歌だよねー)
私が全て歌い終えると、小雪が私を見つめていた。
そしてふわりと微笑む。
"ありがとう"
そう口が動いた。
3日後、私達は小雪の戴冠式に参加していた。
「……それにしても、凄いわよね!
女優とお姫様、両立していくなんて!」
サクラが、民衆に手を振る小雪を見て呟く。
小雪は、雪の国の皇女になったが、女優を続けると言ったのだ。
私は小雪を見て微笑む。
『……諦めないって大切だな』
そう呟いた。
戴冠式には三太夫も涙を流しながら参加していた。
ドトウはというと監視付きだが拘束は解かれたらしい。
『……任務完遂!…………ってか?』
私はそう言って微笑んだ。