第39章 雪の国と春
『……大丈夫ですか?三太夫さん?』
私は汽車が見えなくなると三太夫のもとへ近寄る。
「……はい。おかげさまで……」
三太夫はそう言うと、私から小雪に視線を移す。
「……姫様……」
三太夫は小雪に近づいた。
「……本当、馬鹿ね……敵いもしないのに立ち向かって……犬死にでもするつもりだった?
……やっぱり帰るわ!ここに来たのは間違いだったのよ!」
小雪はそう言うと三太夫に背を向けて歩き出した。
「……どこに帰んだよ!……あんたの国はここだろ!」
ナルトが叫んだ。
『……ナルト、少し落ち着け!』
私はナルトの背中をそっと叩く。
『……小雪さんには、雪の国ではないところに帰る場所があるんだ……恋人のいる場所が……』
私の言葉に、ナルトだけでなく三太夫、そして小雪までもが驚いた顔をした。
「…なっ!ほんとかっ!?」
ナルトは顔を赤くしてそう言う。
『……いや、言ってみただけ……』
私がそう言うとナルトはがくりと肩を落とした。
三太夫はほっとしたように息をついた。
「……こんなときにふざけるなってばよ!」
ナルトは私を見ると怒鳴った。
だが、小雪の後ろに飛行船が現れ、雪忍に小雪が捕まったことでナルトの注意は私から外れる。
雪忍が落とした玉が地面に落ちると、巨大な氷の刺が私達を襲った。
「……サクラ!ナルトは?」
サスケがナルトの姿が見えないことに気付きサクラに問う。
「……ナルト、まさか……」
サクラはナルトがいないことを確認して、飛行船が飛び去った方向にそう呟いた。