第39章 雪の国と春
私はそれを見た瞬間、瞬身の術で汽車と三太夫達の間に飛んだ。
私が現れると同時に、何百もの苦無が私達目掛けて飛んできた。
『…氷遁・氷凍壁<ヒョウトウヘキ>』
私が印を組むと私達の前に氷で出来た楯が出現する。
氷の壁は苦無が刺さると粉々に飛び散った。
『……三太夫さん、こんなところで死んでたら、小雪さんを守れないんじゃないですか?』
私は後ろで驚いている三太夫に声をかけると前を向いた。
『……ここは俺に任せてください……あなたちには、ここで死ぬ以外にやるべきことがあるでしょう?』
私の言葉に三太夫達が息を止める。
『……小雪さんが主君になるのを、見届けてあげてください。』
私がそう言うと、三太夫が息を飲んだ。
「流殿……」
三太夫は呟くと、仲間を連れて引き上げる。
「そうはいくか!」
それを見たドトウの部下が新しく苦無を発射してきた。
『……時空間忍術・鏡写し!』
私が印を組むと苦無がすべて消える。
そして……。
"ガガガガっ"
消えた苦無が再び現れ、汽車に向かって刺さった。
鏡写しの術は、その名のとおり、相手の攻撃をそのまま時空間を移動させ相手にそっくり返す術だった。
"ドォン"
苦無が汽車に刺さったあと、爆発音がして雪崩が起きた。
雪崩は汽車を捲き込んだ。
だが、汽車は後ろの車両を残し、走り去って行った。