第30章 中忍試験
私は今、九つの問が書かれた用紙を睨んでいた。
イビキがやって来て始まった中忍試験の一次は、やはりペーパーテストだった。
テストの内容は強くなろうと必死だった私がアカデミーに入る前に覚えたこととその応用だった。
もちろん、カンニングなどしなくても満点をとる自信がある。
何より、私は最後に出題される10問目を受ければ合格になることを知っていた。
なら、何故用紙を睨んでいるか。
それは、私の性格のせいだった、
(どうせ合格なら問題やるだけ無駄だよな~。
でも、なにもしないってのもつまらないんだよなぁ)
私は、試験管の裏をかいてやりたい気持ちでいっぱいになっていた。
(もともと、人を騙したり、イタズラするの好きな性格だったからな~)
私は用紙を目つめながらどうしようか考える。
『よし!』
私は呟くとペンを握った。
(思い付かなかったから、取り敢えずグラタンの作り方でも書いておくか!)
私はそう決定するとペンを走らせる。
グラタンは、前世で私の得意だった料理だ。
定番のカレーの作り方にしようと考えたが、美味しいカレーの作り方よりグラタンのほうが簡単だったためグラタンにした。
私はただグラタンの作り方を書くのではなく、暗号化して用紙を埋めていった。
(解読したら作ってくれるかな?)
私はそんなことを考えて、ニヤニヤしながらペンをおいた。
ちょうどその時、タイミングを見計らったかのように、イビキが第10問目に付いての説明を始めた。
イビキの説明に、一人、また一人と教室を出ていく。
私は、もし自分が原作を知らなかったらと考える。
(難しいね~。カレー味のう◯こ食べるか、う◯こ味のカレー食べるかってくらい難しい。)
『まぁ、私だったらう◯こ味のカレーだな。』
私はポツリと呟く。
試験管(う◯こ味のカレー!?)
ルミを見ていた試験管は悩んでいたと思ったら、急にそんな言葉をはいたルミ驚いたような、気持ち悪がるような視線を向けた。
「ここに残った者全員に合格を言い渡す!」
私が究極の選択をしている間に試験が終わったようで、イビキの声が教室に響いた。