第30章 中忍試験
「だぁぁぁ!遅いってばよ!自分から呼び出しておいて何なんだってばよ!!」
私たち7班はカカシに呼び出されて集まっていた。
なかなか来ないカカシにナルトがしびれを切らしていた。
(ついに中忍試験か。)
今回呼び出された理由はそれだろうと確信した私は黙って7班のメンバーを見ている。
(これが7班がバラバラになるかならないかの分岐点だ。)
私はカカシが表れるまで、これからどう行動するかを考えていた。
「はい、これ志願書!」
私はそう言ったカカシの声で我に返った。
考えすぎてカカシが来ていたことに気づかなかった自分に驚いた。
カカシは中忍試験の説明を終えると瞬身でその場から姿を消した。
私はナルト達が返ったあと、その場に座り込んだ。
サクラが落ち込んでいたようだったが、それを励ます余裕が今の私にはなかった。
カ(なんか、流の様子がおかしいな。)
カカシは瞬身で返ったふりをして近くに潜んで様子を伺っていた。
カ(サクラがサスケやナルトに差を感じて落ち込んでいるのは知っていたが……)
カカシはサスケに劣らない実力を見せていたルミの様子がおかしい理由が分からず首を捻る。
カカシは再び瞬身を使うとルミの隣に現れた。
「なーに悩んでんの?」
カカシは俯いているルミに声をかけた。
『え?』
私は突然降ってきた声に思わず顔を上げた。
カ(っ!!何て顔してんのよ?この子は……。)
カカシは顔を上げたルミの瞳に溜まった涙に息を飲んだ。
私は声の主がカカシと気付き慌てて涙を拭った。
サスケの里抜けを防ぐ方法を考えていたはずが、原作のストーリーを思い出して、イタチやサスケの未来に涙を流していた。