第5章 お留守番
誕生日の翌朝、緑色のベストを着用した母に抱かれ、私は家を出た。
「ルミ、今からママが帰ってくるまでルミと遊んでくれる人のところに行くのよ。」
母が腕の中の私に声をかける。
『ん!』
私はそう返事をしてから辺りをキョロキョロする。
前世の記憶が戻ってから外に出るのは初めてで、好奇心が沸き上がってくる。
母はそんな私を微笑みながら見ると、大きな家の門をくぐった。
私がいつまでもキョロキョロしていると、母が、いつの間についたのか玄関の戸を叩いた。
"ガラガラ"
音を立てて戸が横にずれた。
?「おはようございます。ルカさん。」
私は開いた戸から聞こえてきた声に、首を傾げた。
(ん?なんか聞き覚えあるぞ、この声…)
そう思って視線を声の主に向けた私は目を見開いた。