第21章 卒業
「…そうだな。
…化け狐ならな。けど、ナルトは違う。
アイツは…、アイツは、このオレが認めた優秀な生徒だ。
アイツは、人の心の苦しみを知っている。
…アイツは化け狐なんかじゃないっ!
木の葉の里の、うずまきナルトだっ!!」
俺はミズキに怒鳴った。
「イルカ!おまえを後回しにするっつったがやめた!さっさと死ねっ!!」
ミズキは、背負っていた巨 大手裏剣を振り回し回し、俺に向かって突進してくる。
(…これまでか)
力を使い果たして動けない俺は死を覚悟した。
「うおっ!!」
木の陰から飛び出してきたナルトが、ミズキに体当たりをして、手裏剣とミズキを吹き飛ばした。
俺は、驚き目を見張る。
立ち上がるミズキをナルトが睨み付ける。
「イルカ先生に…手ェ出すな…、殺すぞ!!」
そう言って、ナルトは、指を握る普通の印とは違う、右手の指と左手の指で、十字を形どるようにして印を結んだ。
「てめー小僧!やれるもんならやってみろー!化け狐っ!!」
ミズキがナルトに襲いかかる。
「影分身の術!」
俺は、そのナルトの術の威力に驚いた。
同じように驚いたミズキも、慌てて足を止める。
(おまえ…影分身の術を!?これは自分そのものを作り出す高等忍術だぞ!)
俺は、分身が苦手だったナルトの術に驚きを隠せなかった。
そして、ミズキの悲鳴と、すごい数の殴蹴音だけが、薄っすらと明けかかった空に響き渡った。
「えっへっへっへ…、ちっとやりすぎちゃったぁ。
イルカ先生、大丈夫かぁ?」
木にもたれかかったままの俺にナルトが言う。
「…ん?あ、ああ…」
(大したもんだ…、こいつ、ひょっとすると本当に、どの火影をも…)
俺は、そんなことを思いながらナルトを呼んだ。