第3章 転生
(苦しい…)
再び意識が浮き上がってきた私が思ったことはそれだった。
どうやら呼吸困難はまだ続いているようだ。
取り敢えずまた意識を失う前に何とかしようと考えていると、さっきまで真っ暗だったが明るくなった。
瞼を閉じていても明るいのがわかる。
(もう朝?)
気を失っている間に朝になってしまったのだろうか?
そんなことを思いつつ、とにかく私は呼吸を再開しようとした。
『おぎゃー、おぎゃー。』
(はい?)
肺一杯に酸素か入って来たと思ったら、赤ちゃんの泣き声。
しかもすぐ近く。
(こか、寮ですけど?)
そう考えながら薄く目を開いた。
男「産まれたぞ、ルカ。女だ。」
目を開くとテンパの男の人と眼があった。
男のひとは、冷静な声でそう言ったが、その瞳には隠しきれない喜びが溢れていた。
(いや、なに?どういうこと?
っていうか、そんな愛しそうに見つめられると照れるんだけど!)
私は軽くパニックになりながら心のなかで叫ぶ。
男「よく頑張ったな。」
男の人がそう言うと、ルカと呼ばれたらしい、女の人が、シスイ、ありがとう 。と答えた。
(この男の人、シスイって言うんだ~?
ルカにシスイ、変わった名前……って!そうじゃなくて!)
私は身体を起こそうとしたがうまく行かない。
ルカ「シスイ、赤ちゃんの顔が見たいわ。」
パニクる私をよそにルカとやらがテンパの人にそう頼む。
シ「あぁ。」
そう答えた男の腕が、何故か私に伸びてきた