第3章 つぎのひのあさ。
体がだるい…
重い…
なんだろう…この感じ…
重たい瞼を必死に持ち上げる。
『え?』
見知らぬ部屋。
ここ…どこ?
体を起こすとはらりと落ちる布団。
違和感を感じて下を見れば…服…どこ?
「ん…」
もそり、と動く何か。
隣を見れば…灰羽くん⁈
やらかした…
大学の時、1回だけ飲んだ後「人前で飲むな!」って怒られたのを思い出した。
『灰羽くん!灰羽くん!』
お布団を引き寄せながら隣で寝る灰羽くんをゆさゆさと揺さぶる。
「ん…あと5分…」
『いやいや…仕事じゃないよ。ちょっと状況説明を…』
「ゔー…」
灰羽くんは眉間に皺を寄せながら薄く目を開けた。
「あ…梢…おはよ。」
『おはよう…』
ふにゃりと笑った灰羽くん。
寝起きのあどけない顔。
母性本能がくすぐられるような可愛さに思わず胸がときめく。
目をこすりながら上半身を起こし、体を伸ばす灰羽くん。
「んー…腹減った。」
『じゃあ私作ろうか?』
「まじで!やった!」
『その代わり、着替え貸して?流石にスーツで料理は…』
「わかった!」
そう言い布団から出る灰羽くん。
『お願いだから…下…隠して…』
私がそっぽを向けば灰羽くんは不思議そうに私の顔を覗く。
「昨日、あれだけシたのにまだ恥ずかしいの?」
『酔ってたの!もう、酔い冷めてるから…』
「ふーん…そういうもんなんだ…下履いたよ?ちょっと待っててー?」
そう言い灰羽くんは、衣装ケースをゴソゴソし私にTシャツを差し出した。
もぞもぞとそれを着ればシャツワンピのような長さ。
まぁ、下借りなくても大丈夫か。
『じゃあ、キッチン借りるね?』
そう私がいえば、灰羽くんはよろしくーと返事を投げ返した。