第13章 ふたり。
side灰羽
最後の一滴がなくなるくらい梢に白濁を注ぎ込み、引き抜く。
自分が出した白濁が梢からこぽりと溢れ出す。
気持ち良さと引き換えの恐怖。
責任は取るつもりはあるけれど…
なんてもやもや考えていたら、くすりと月島が笑う。
「なんて顔してるの…灰羽。」
「いや…ナカで出しちゃったけどさ…これで妊娠とか…」
「心配ないよ。梢にはこれ飲んでもらうから。」
そう言って月島があらかじめこちらの部屋に持ち込んでいたカバンを探る。
出てきたのは…薬?
「アフターピル。1回飲めば大丈夫なやつ。」
「それって…薬局とかで買えない……よな?」
「当たり前デショ?産婦人科で処方してもらわなきゃもらえないやつ。」
「それをなんで月島が…?」
「ああ、僕、産婦人科のセフレいるから。」
へえそう。産婦人科のセフレ…
「はあっ⁈」
「灰羽うるさい。」
セフレってセックスフレンドのセフレ…だよな…
ちらりと月島を見れば目が合い、にやりと笑いかけられる。
「灰羽も、試してみる?僕どっちもイけるし。」
「ちょっ⁈」
「冗談だよ。まあ、3人の関係を続けるんだったらいずれありかもね。」
軽い口調で言う月島。
冗談なのか本気なのか。
「でも、3人で続けるかは梢が決めることだよ。」
そう呟けば、月島ははあ…とため息をつき、俺の方を向いた。
「3人でいることを選ぶか…どちらか1人を選ぶか…」
俺は、寝息を立てている梢の頭をそっと撫でる。
『ん…りえ……けい…』
体を丸め幸せそうに眠る梢。
もうすぐ、朝が来る。