第11章 やさしさ。
涙で崩れたお化粧をトイレで治し、トイレから出ると私はリエーフくんと一緒にお家に帰宅。
化粧は直せても、目の腫れまでは直せなかったので外での食事はまた後日。
赤と黄色で構成された看板のチーズ乗せ牛丼大盛りと普通の牛丼特盛りを1つずつ夜ご飯用に購入。
リエーフくんが家に着替えに行っている間にパパッと部屋着に着替えて家に常備してあるインスタントのお味噌汁を作っているとかちゃりとドアが開く。
「梢、きたよー!」
『はーい!出来てるよ?』
お味噌汁と箸を持ってリビングに移動。
テーブルにそれぞれ並べると各々いただきますをし、食べ始めた。
気がついたら、朝も昼もあまり食べていなかったし、帰りの新幹線でも食べる気をなくしていた。
だからかものすごくお腹が空いていたみたいで大盛りを頼んだはずの牛丼はすぐに空になった。
「はあっ…食ったぁ…」
特盛りを完食し、幸せそうなリエーフくん。
私も満足。
『じゃあ片付けるよ?』
そう言って立ち上がろうとすると不意に後ろから引かれる感覚。
振り返れば、にこにこと笑顔で胡座をかいた足をぺしぺし叩いている。
「おいで?」
『片付けてから…』
「いーから!」
くいっと腕を引かれ、バランスを崩した私の体は簡単にリエーフくんの足の上に収まる。
後ろからぎゅうぎゅうに抱きしめられ、頬にすりすりされて、私の心はほっこりする。
「梢とぎゅってするの久しぶり…」
『一昨日したじゃない。』
そう言えば、私の頬にふわり、優しいキス。
「俺はいつでも梢とらぶらぶしてたいの。」
『もー…』
されるがまま、キスを受け入れていれば腰に感じるささやかな違和感。
『リエーフ…くん?』
後ろを振り向き窘めればえへへと苦笑い。
「だって久しぶりだから…」
『もう…』
ため息をつく私の唇に吸い付くリエーフくん。
軽く触れるだけの口付けから少しずつ長いものに変わり、最後には舌を絡めるキスに変わる。
『リエーフ…く…』
「梢…いい…?」
『い….よ…』
私はリエーフくんの首に腕を巻きつけキスに酔いしれた。