第10章 出張。
リエーフくんにお土産を買い、新幹線に乗る。
スマホの電源を切り外に目を向けているとあっと言う間に東京にたどり着く。
改札を抜け、自分の路線を確かめようと頭を上げたとき、その人はいた。
目立つ長身。
キラキラ光る髪の毛。
うざったそうに緩められたネクタイ。
グリーンの瞳が私の方に向くと、その人…リエーフくんは私に向かって微笑みながら手を振った。
「梢、出張お疲れ様。」
『なん…で……?』
「メッセージ、入れたんだけど既読にならないから直接こっちに来た。
荷物もつよ?」
そう言ってリエーフくんは私の荷物を奪い、空いた手で私の手を握る。
「今日は俺奢るからご飯食べに行こう?」
からりと笑うリエーフくん。
安心した。
安心して、涙がこぼれた。
「え?どうした⁈梢⁈」
『大丈夫…ごめん…』
「おいで?」
リエーフくんは私を自分の胸に導く。
化粧が取れるとか、それがワイシャツに付いちゃうとか全く気にしないで、私を抱きしめる。
「お疲れ様。」
背中をぽんぽんと叩かれ、頭を優しく撫でられた私はぎゅっとリエーフくんに抱きしめられながら涙をこぼした。