第1章 入社式。
side灰羽
美味しかったのか、梢はカルーアミルクのグラスを空にした。
「梢、結局全部飲んだじゃん!」
『うん。おいしかった。』
「いけそーじゃん?少しずつ酒、慣れていこーぜ?」
『うん!』
「じゃあそろそろ解散にしましょうか。」
赤葦さんがそういえば、みんなは身支度を整え始める。
「椎名サン、帰るよ?」
『んー?』
「ねえ、灰羽…これ、椎名サン、酔ってない?」
月島に言われ、梢の顔を見るといつの間にか顔が赤く染まっている。
「うそ…梢?梢?」
『なにー?はいばくん。』
舌ったらずな口調。甘えるように俺の腕に自分の腕を絡めてくる。
「マジで…?あの量で酔ったの?」
マジでか…
ここまで弱いなんて…
月島が先輩たちを呼びに行く。
とりあえず自分の荷物と梢の荷物をそれぞれのカバンにしまう。
「梢、ごめんね?抱っこするよ?」
『うん。いーよ?』
1度梢に断ると片手にカバンを抱え、梢を横抱きにした。
会計を終えたらしい先輩たちが月島の話を聞いて戻ってくる。
「椎名酔ったってマジ?」
「黒尾さんまじっす。とりあえず外でましょう。梢の靴だけお願いできますか?」
「俺、持ったよ?荷物は?」
「俺が持ってます。」
ざわざわと周りを騒がせながら俺たちは一旦居酒屋の外にでた。