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BLEACH お題消化1

第2章 十五、白雨



「すごい雨」
 満流は雨乾堂の中から,一面に広がる池を眺めていた。正確にはその水面を激しく叩く夕立を。
「なんか屋根とかダバダバいってるんだけど」
「そうだな。池の水嵩が増えすぎなければいいんだが」
「寒くない?浮竹」
 振り返って堂の主を見遣る。浮竹はお茶を片手におおらかに笑う。
「ああ。ちょうど暑かったからな。少し蒸すが涼しくなって丁度いい」
「そう。ならもうちょっと見ていていい?」
「良いぞ」
 また池の方へ向き直って,満流は水面を見つめる。大粒の雫が池に吸い込まれる度に,同心円がいくつも生まれる。そして消える間もなく,新たな円が水面に広がる。ばちゃばちゃばちゃばちゃ。聞こえるのは池を叩く水音,屋根を叩く雨音,遠くの木々がざわめく葉擦れ。ざあざあと重なり合う音に耳をすませていた満流は,しかし突然の閃光に肩を跳ねさせた。一瞬置いて,空間を割り裂くような雷の音。
「うわ!」
「おお!?」
 驚いた声が重なって,思わず満流は振り返る。驚いた顔の浮竹と目が合って,思わず小さく噴き出した。
「ぷ,何驚いてんの。十三隊隊長のくせに」
「そういうお前だって驚いていただろう」
「僕は十三隊の隊長じゃないし」
「十三隊どころか零番の隊長のくせに」
「偽物だからいいんですぅ」
「いい大人のくせに」
「僕永遠の18歳だからー」
 おどけてみせると,浮竹は大きく笑った。満流もつられて笑う。急に真面目な顔になって浮竹が言う。
「18は,ないぞ」
「うるさいな!……すごい雷だったねぇ」
「ああ,結構近かったんじゃないか?」
「大丈夫?十四郎ちゃん怖くない?」
「子ども扱いするんじゃない」
「おへそ隠しておきなさい」
 死覇装を着ているため,めったに腹部など出るものではないにも関わらず,一瞬臍周りに手をやった浮竹を見て,満流はもう一度笑った。



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