第10章 10.初恋の人
『でも、あのとき…
乗り越えれなかったのは……
そこまでの思いだったってことだと思う
きっと、すごい好きだったらね?
諦めるなんて思わないと思うんだ……』
「……うん」
『……だから、今日は言おうと思う』
「なにを?」
『好きでいさせてくれて、ありがとう』
そう言ったときには涙が溢れてた。
何でか分からない。ただ涙が止まらない。
「今は?」
『……今は……』
「違う人が好き?」
『それは……違う。
ただ、会わなくちゃいけない人がいるの
たぶん会わないと後悔する。』
「……今度おごってよ?」
そう言った翔くんを二度見してしまった。
「ほら、いっておいでよ」
『っ……翔くん…っ……』
「今度また会ってくれるなら許す」
『ごめん……っ……行ってくる』
鞄を持ってすぐさま店を出ていった。