第5章 5.モテ犬
喋ったこともないし、
あなたの何も知りません。
でも、あの時わたしのハンカチを拾って
"どうぞ?"と言ってくれた、
そのときの笑顔に一目惚れしました。
ただ、それだけ伝えたかったです。
ごめんなさい。そして、ありがとう
『うわぁ…ラブレターだ…』
と、ラブレターを読んでるあたしに
二宮くんはビールを飲みながら"そう?"と
これ、あなたが貰ったんですよ?
これだからモテる男は……
『なんか……あたしに似てる、この子』
「そう?まぁ、確かに似てたかも」
『あたしも書いたな~…ラブレター』
「え、書いたの?いつ」
そこだけ何故か食いついてきた二宮くん
『こ、高校のとき?』
「…へぇ…どうだったんですか?」
『え、ダメでしたよ?』
「…そう」
今、こいつ笑ったな?
お姉さん、見ちゃいましたよ?