第26章 26.秘密
ピッ
『も…もしもし?』
〈あ、まだ仕事中だった?
そっちは夜だもんね〉
『え、夜?』
いやいや、昼ですよ。二宮くん
もう頭もおかしくなったのかな…
〈パリはもう夜でしょって…え、なに
もしかしてパリじゃないの?〉
『あ、え…あ、ううん?
パリ、パリだよ!ここはパリ!』
あ~…あたしだった…
一応、二宮くんの中ではパリなんだよね
そうだよ、もう…
〈ふふっ…そうでしょ?
仕事し過ぎなんじゃない?早く帰ってきなよ〉
『…二宮くんこそ帰りなよ…家に…』
〈え、俺ですか?俺は別に大丈夫ですよ〉
『あ…その……結婚式は…行くの?』
〈え、あ…どうだろ…あなたは?〉
『ん~……そうだなぁ……』
〈無理なら、無理しないでいいよ
俺も論文、書き上げないといけないし…ね〉
そんな言い方はないよ、二宮くん
だって秘密だからって私はあなたに…
あなたに会いたくて、
『……だね……うん……行かない…じゃあね』
ピッ