第21章 21.決心
カウンターに座ると松本さんがコーヒーを私の前に出してきた。
『……あれ……これって』
「すげぇ……香りだけで分かるんだ
そう。大野さんのところのコーヒー」
何年も通ってたから香りを覚えてて、
その落ち着く味が久しぶりに口の中に広がった
「カズも知ってるよ」
『え?……あ、パリの……ことですか?』
「うん。そう…イラついてた。
あんなカズは正直初めて見たかな……」
『ごめんなさい……あたしが……』
「ちゃんは悪くないでしょ。
全て運が悪かったんだよ……そんで、
歯車があって全てを忘れる時が来る。うん」
なんだろう。
松本さんって大野先輩と似てるとこがある
わからないけど……うん。
『あたし早めたんです。
パリに行くの……ちょっと頭冷やします』
「そうなんだ……いつ行くの?」
『明日にでも』
「……また急だね」
『……それでこれ……
……二宮くんに渡して下さい』
そう言って松本さんに1枚の手紙を渡した。
『必ず渡して下さい。お願いします。』