第1章 娼婦
「The queerness is temporary, too and is got tired sometime soon.」
(珍妙も一時、やがては飽きられる)
「・・・?」
どこかの古い言い伝えだろうか。
聞いたことのない言葉を呟いた彼女の意は推し量れそうにない。
「ご存じないのですね?
・・・城下の人形道具は、随分と無知でいらっしゃること」
彼女がくすくすと含み笑いを漏らす。
私が黙って頷けば、彼女はなおも可笑しそうに口をゆがめた。
広い渡り廊下を歩いていくと、その先に突き当りが見える。
まだたどり着かないなんて、私の部屋は存外遠いようだ。
「娼婦をお召し抱えになると聞いたときは驚きましたけれど・・・。
なるほど、壊れ道具に興味を示されたのですわね」
「はい、そのようですね」
今度は口に出して返答すると、さっきまでスラスラ話していた彼女の口が止まり、ついで彼女の足がふと止まった。
いったいどうしたのだろうか。