第35章 -誕生日プレゼント-(青峰大輝)
「慰めてやるよ。」
そう言って青峰くんは大きな手でわたしの涙を拭った。
不敵な笑みを浮かべながら。
力強い視線と指使いにゾクッとして目が離せなくなる。
「…っ‼︎青峰くん、ふざけすぎだよ。」
その目に吸い込まれそうなのを必死で振り切り、青峰くんの手をムギュッとつねって笑顔を作る。
「バカ‼︎冗談だよ。ま、そんだけ元気なら大丈夫だな。」
さっきの不敵な笑みとはうって変わり、ふっと優しく微笑んだ青峰くんは、わたしの頭を乱暴に撫でた。
「うわっ…痛いよ‼︎青峰くん‼︎」
さつき繋がりでなぜだかよく話すようになった青峰くんに、なぜだかサッカー部の先輩への片想いがバレていた。
なんだかんだ文句を言いながら、いつもわたしの話を聞いてくれていた青峰くん。
それも今日で終わり。
先輩に彼女ができたコトがわかり、わたしは告白もせずに失恋が決定した。
でも、なぜだかもうスッキリしている。
最初はショックで涙も出たけど、今はもう笑っている。
青峰くんのおかげかな。
「あ‼︎」
「なんだよ?」
わたしは大変なことを思い出した。
「そんなことより‼︎お誕生日おめでとうだよ‼︎今日青峰くんの誕生日じゃん‼︎」
「…‼︎なんだ…そんなことかよ。どうでもいい。」
「どうでもよくないよ‼︎辛気臭い話はおしまい‼︎ね‼︎ケーキ食べに行こっ♪」
「は⁈ケーキ?んな甘いもんいらねーよ。」
「えー⁈誕生日なのにー。じゃあ、テリヤキバーガー?ごちそうするよ♪」
「…っ‼︎」
逃げようとする青峰くんの手をガッチリ掴んで顔を覗き込むと青峰くんは何か考えるように上を向いてしまった。
「もう恋愛相談も当分ないし、いつもたくさん話を聞いてもらってたから、今日は青峰くんの話、聞くよ♪」
そういえば、寝たふりしながら聞いててくれた時もあったっけ…なんて、思い出すとおかしくて笑いたくなってしまう。
「じゃあ、誕生日プレゼントくれよ。」
「マイちゃんの写真集とか?」
「ちがう。」
「…おっぱい触らせてとかは絶対イヤ。」
「…ちぇっ。」
「あー‼︎やっぱりそういうヘンタイ的なヤツだったんだぁ‼︎サイテー‼︎アホ峰〜!エロ峰〜!」
「バァカ‼︎ちげぇよ。」
「じゃあ、何がほし……っ⁈」
「きづながほしい。」
…チュ。
---End---