第33章 -シュークリーム①-(岩泉一)
「何食ってんだ?」
部屋でシュークリームをパクンと口に入れたと同時にドアが開き、はじめが部屋に入ってきた。
「シュークリーム♪はじめも食べる?」
「いらねーよ。んな花みたいなもん食ってんなよ。」
「さすがはじめ♪このシュークリーム、マッキーからもらったんだよ〜♪」
「また花かよ…」
なんでかやたら呆れてるはじめは乱暴にわたしの隣に座ったけど、ジッと人の顔を見てばかりいた。
「どうしたの?やっぱり食べたい?しょーがないから、今ならまだ一口あげるよ〜?マッキーのおすすめだけあって、クリームたっぷりだし、すっごく美味しいんだから〜♪」
と言いながら、またシュークリームを口に運ぶと、そのたっぷりクリームがはみ出してしまい、口元についてしまった。
「うわっ…」
せっかくのクリームを落としてはもったいない…なんて思って、指で掬い取って、また口へ運ぼうとすると、その手をグイッとはじめに引かれた。
「は…じめ…?ちょっ…⁈」
はじめはわたしの指からそのままクリームを舐め取ってしまった。
「も…もう‼︎急にそんな恥ずかしいコトしないでよ‼︎ちゃんとあげるって言ってたでしょ〜⁈」
突然のはじめの行動にドキドキが治らない。
彼氏だけど、はじめとは付き合い始めたばかりだし、急にこんなことされると、どうすればいいのかわからない。わたしは恥ずかしさを隠したくて、はじめを見ないようにして、またシュークリームを口へ運んだ。
でも、その手をまたはじめに押さえられてしまう。
「は…じめ?」
自分の顔が熱を持っているのがわかる。
恐る恐るはじめを見上げると、はじめはわたしの手にあったシュークリームをパクンと一口で食べてしまった。
「あ‼︎ウソー⁉︎全部食べたー⁉︎」
はじめの行動にドキドキして真っ赤になって甘い雰囲気?で夢心地だったのに、一気に現実に引き戻されたかと思ったら、はじめは急にわたしを抱き寄せ、耳元で囁いた。
「花にもらったモンに夢中になってんじゃねーよ。(花に夢中になってるみたいじゃねーか…)」
---End---