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〜Petite Story〜

第25章 -クロ予防?-(黒尾鉄朗)


「待てよ、きづなー‼︎」

「待ーたーなーいー!」

部活帰り、いつもなら皆で一緒に帰るけど、今日は一人で帰りたい。
特にクロとなんか絶対帰りたくない!

ムシムシムシムシ‼︎

夜久くんに用事があるから…と伝えてあったのに、なぜかクロは女子更衣室の前で待ち構えていて、わたしの後ろを歩いている。

「まぁ、待たなくてもオレのが足長いから、すぐ追いつくっつーの!」

「…‼︎」

そう言ったクロはあっという間にわたしに追いつき、わたしの腕を掴む。

「つぅか、きづな、風邪か⁇練習中、ムリしてたのか?」

クロはわたしのおでこに手を当てた。
普段しないのに、わたしがマスクをしていたから。

「冷たっ…‼︎」

手袋をしていないクロの手は冷たくて、火照ったおでこにヒンヤリ気持ちよかった。

「…風邪じゃない‼︎」

「じゃあ、なんでマスクなんかしてんだよ?」

「予防〜。」

「ふぅん…なんの?」

「風邪と乾燥とクロ‼︎もう放してよ‼︎」

クロから離れたいのにクロはわたしの腕を掴んでいた手を下に滑らし、わたしの手をギュッと握ってくる。

「やーだ♪なんでオレまで予防すんの?」

ニヤリとなんでもお見通し…そんな表情でわたしの顔を覗き込むクロ…。

ニヤリとしてるのに、なんだか色っぽいクロの視線…

そんなふうに思ってしまうのが悔しくて、マスク越しにキッとクロを睨みつける。

「わ…わかってるくせに!!」

「なーにがー?」

クロはわたしの睨みなんか気にも止めず、しゃがみ込んで、視線をわたしに合わせた。

「ち…近い‼︎もうっ‼︎キ…キスしたでしょ‼︎皆の前で‼︎」

昨日の部活帰り、突然…ほんと突然、普通に皆で話しながら歩いていたのに、クロがキスをしてきたのだ。

だから、今日はずっとクロをムシしていたのに…

余裕たっぷりのクロは、やっぱりわたしの目の前にいる。

「だってー。きづなが可愛いから、仕方ねぇじゃん。」

「り…理由になってないー‼︎」

「つぅか、それ、意味ねぇから。」

クロはわたしのマスクをグッと下げて、またキスをした。

「ちょっ…クロ…⁈」

怒ろうとすると、そのままクロに抱き締められる。

「ムシすんな…淋しいじゃねぇか…」


ズルい‼︎

そんな言い方されたら、怒ってたの…忘れちゃうよ…


---End---
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