第19章 -ギュッ-(虹村修造)
「今日はどうなるんだろうね‼︎絶対あの2人がくっつくよね‼︎」
あと10分で始まる恋愛ドラマ。
1話を修造の部屋で見たからか、このドラマは修造の部屋で見るのがお決まりになっていた。
あったかい湯気の出たココアの入ったマグカップ2つとビスケットをベッド前のローテーブルに置いて、わたしの定位置…ベッドにもたれて座ってる修造の横に座ってわたしも準備万端。
修造は興味なさそうだけど、文句も言わず、いつも一緒に見てくれている。
「そーか⁈ぜってぇあの男、裏あんだろ。あんなヤツいるかよ。」
前言撤回。
意外と興味あるのかも(笑)
「裏があっても、あんだけカッコ良かったら騙されてもいーかもー(笑)」
「あ⁈本気で言ってんのかよ⁈」
「うーん?まぁ、あんなコト現実に起こらないだろうし、あんなカッコいい人、実際にいないしね〜。」
でも、修造になら騙されてもいいかな…なんて思ったコトはナイショにしておく。
「……。」
「…?う〜やっぱ今日寒いかも。」
修造が黙ってしまったので、会話が終了してしまい、わたしはココアに手を伸ばす。それでもまだ寒いので、今度は、修造のベッドから毛布を引っ張り、その中にくるまった。
「はぁ…おまえ、毛布引っ張り出すなよな。後で戻すのめんどくせぇだろ。」
「後でキレイに戻すってばー。あ〜あったかい♡」
本当はカーディガンとか着てくればいいんだけど、わたしは修造の毛布が好き。修造の匂いがして、修造に抱き締められてるみたいだから。
だから、カーディガンは持ってきてない。
コレも修造にはナイショ。
「………………オレもさみぃ。」
バサッ…
「…⁈しゅ…⁈」
突然、わたしがくるまっている毛布の中に修造が入ってきて、わたしは毛布の中で修造に抱き締められていた。
「え⁈あの…えっと…」
「あ⁈なんか文句あんのかよ?」
「あ…ある…けど…」
「おまえがオレの毛布取るのが悪い。」
修造はさらにギューッとわたしをきつく抱き締める。
「そんなに寒いなら、あっためてやるよ。」
どうしよう…毛布どころじゃない…修造の温もりが自分の中にある。
待っていたはずの恋愛ドラマが始まった。
でも、今は恋愛ドラマを見るよりもドキドキが止まらない。
わたしは勇気を出して、そっと修造の背中に腕をまわした。
---End---