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〜Petite Story〜

第5章 -声-(月島明光)


『月島さーん(T_T)』

『どうしたの?』

昼休み、思わず月島さんにメッセージを送ると、意外とすぐに返信がきた。

『イライラで限界です(T_T)』

同期とのランチを断り、1人でカフェに来てイライラを抑えながらアイスカフェオレを一気飲みすると、またすぐに返信がきた。

『またハゲ田か(^^;;?』

わたしの上司…”萩田”…”はぎた”課長の裏のあだ名は見た目そのまま”ハゲ田”だった。

『はい(>_<)もうムリです(T_T)』

『今度ゆっくり話聞いてやるから。もう少し頑張れ( T_T)\(^-^ )』

…ドキッ。
月島さんはさらりと送ってくるけど、こっちはそれだけでドキドキしてしまう。

月島さんは去年同じ部だった先輩で、よく仕事を教えてもらっていたから、仲良くしてもらってるけど…それだけだ。月島さんにとっては、わたしもたくさんの後輩の中の1人。でも、いまだに相談に乗ってくれたりこうやって愚痴を聞いてくれる。

『ありがとうございます(>_<)!お昼休みに急にすみませんでした(>_<)』

月島さんとメッセージのやりとりをして、少しだけ元気が出たけど、精神的ダメージは大きい。家に帰っても、イライラモヤモヤは残っていた。


月島さんに会いたいな…
月島さんと話したいな…


部が変わってしまい、フロアも変わってしまったので、同じ会社でも月島さんに会えることは滅多にない。

頭の中に浮かんでは消えるイヤな上司の顔や声…消そうとしても頭から消えない…どんどんイヤな気持ちになっていく。イヤな感情に侵食されないように他のコトを思い浮かべるけど、頭に入ってくるのは仕事中の一コマばかり…ダメだダメだ…会社の人の声ばかり頭の中に聞こえてくる…ダメだダメだ…そうだ!月島さんのコトを思い出そう…


ダメ…思い出せない。


月島さんの顔も思い出せる。
優しく微笑んだ笑顔、からかうような表情、少し怒った表情…その表情に月島さんのことばを…声を乗せようとするけど、でも…月島さんの声が思い出せない…


「月島さんの声…忘れちゃったよ…」


月島さんの顔を見てちゃんと話したの、最後はいつだったっけ…


ピロン♪


あれ…?誰だろ…







『大丈夫か?』









月島さんっ⁈


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