第43章 -目は口ほどに物を言う-(白布賢二郎)
「賢二郎〜それくらいにしてあげなさい?」
休憩中、また目線だけで五色くんに何か言ってる賢二郎…
さすがに五色くんが気の毒で、賢二郎に声を掛ける。
「きづなさん…っ‼︎」
「ちっ…」
「ごめんね、五色くん…ぁ!賢二郎、今、舌打ちしたでしょ⁈もう…」
賢二郎の腕を引っ張って、五色くんと少し距離をとる。
「……。」
「あ、ごめんね?痛かったよね。」
「……。」
「…‼︎指、やっぱ痛いんだ?さっきトスした時、ちょっと変だったよね。テーピング替える?」
賢二郎の腕を放したけど、何か言いたそうな賢二郎の指に気付き、声を掛けると「…あぁ。」とちょっと拗ねたように賢二郎が頷いたので、賢二郎の手を取り、テーピングを解く。
「……。」
「どしたの?」
テーピングをしながら、賢二郎がまたジーッとわたしの方を見てきて、何か言いたそうだけど、もう他に違和感ないんだけどな…
「……。なんでもない。」
「…?変な賢二郎…。はいっ。テーピング終わったよ?また痛かったら言ってね?」
「……………。」
「きづなちゃーん!それじゃあ、賢二郎も拗ねちゃうよ(笑)」
「天童さん?え⁈拗ねるって、なんで…」
「……。天童さん、勝手なこと言わないでください。休憩終わりますよ。」
……
部活帰りはいつも賢二郎と二人で一緒に帰る。一緒にいる時はほとんどわたしが話してるだけだけど…
「あ…そういえば…」
「どうした?」
「今日、何拗ねてたの?」
「は?」
「ほら、休憩中にテーピングした時。天童さんが言ってたでしょ?」
「……。」
「まだ拗ねてるの?ちゃんと言ってくんなきゃわかんないよ?」
何か怒らせたかなぁ…賢二郎を見上げると、賢二郎は、はぁっとため息をつきながら、わたしのオデコを小突いてくる。
「いたっ…」
「なんでオレの言いたいコトいつもわかんのに、肝心なコトは伝わってねぇんだよ?」
「え…?」
「好きなんだけど?」
「…えっ⁈」
「あんま五色に構うな…」
…ギュ。
いきなり賢二郎に抱き締められる。
「…っ。ちゃんと言ったぞ?伝わってるよな?」
「…うん。」
わたしも賢二郎の背中に腕をギュッとまわした。
---End---