第7章 Order
人一人が入るのがやっとのシャワーブースの壁に、俺の背中が押し付けられる。
両手を一纏めにフックに括られ、足を抱え込まれると、俺の身体は宙に浮いた格好になる。
目の前に晒された俺の後ろに、男の昂ぶりが容赦なく突き入れられる。
「…クッ、アァッ…!」
小さく上げた俺の悲鳴は、シャワーの音に簡単に掻き消されてしまう。
「すまねぇなぁ、本当はもっとじっくり可愛がってやりたいところだが、何分時間が限られてるからな」
結合部分にボディーソープが垂らされる。
ヒヤリとした感触に、俺の身体が小さく震える。
ボディーソープのお陰で滑りが良くなったのか、男の腰が早くなる。
「ん、あっ…、はっ、ん…くっ…」
下から突き上げられる度、口の端から零れ落ちる声が、狭いブースの中に響いた。
「話には聞いていたが…、これほどまでとはな…」
頭の上から降り注ぐ温めのシャワーに紛れるように、俺の耳元に熱い吐息が吹きかかる。
気色悪ぃ…
俺は咄嗟に顔を背けるが、男の唇は執拗に追い縋り、とうとう逃げ場を無くした俺の唇は男の唇に簡単に捕まってしまう。
ねっとりと噛みしめた唇を舌で舐められると、背筋を悪寒にも似た感覚が駆け抜けた。