第23章 Deep Love
右足に残る痛々しい傷痕にそっと口付けてやると、不意に目頭が熱くなる。
「翔…? 泣いてんのか…?」
「泣いてなんかないよ? でも、ちょっとだけ嫉妬してるこな…」
君の身体に、一生消えることのない傷痕を残した彼に…
「彼を愛してた?」
智君の先端に残る白濁を掬った指を後ろに滑らせ、小さく窄む蕾をクルリと撫でてやる。
彼を愛してたの?
蕾を撫でる指に少しだけ力を込め、その奥へと押し込んでやる。
「んっ…はぁっ…」
「答えて?」
「愛して…た…」
一番聞きたくなかった言葉なのに、何故か俺の心はホッと安堵の息を漏らす。
「それを聞けて良かったよ。彼もきっと報われるよ…」
蕾に差し込んだ指を引き抜き、両足を抱え直すと、俺は熱く滾った中心をそこに宛がった。
ゆっくり押し進めた腰が、狭い入口に飲み込まれていく。
「んぁっ…、ぁぁっ…」
仰け反った首にいくつもの筋が浮かび、行き場を無くした手がシーツを掴んだ。
「智、俺が分かる? 今君の中にいるのは、俺だよ…?」
「翔…、しょっ…あぁ、感じる…よ、翔が俺の中に…」
智君の頬を涙が伝う。
「嬉しい…翔…」
「漸く一つになれたね?」
この瞬間をどれだけ待ち侘びたことだろう…
込み上げてくる感情を抑えられず、俺はシーツを掴んだ手に指を絡めると、小さな呼吸を繰り返す唇にそっと口付けた。