第23章 Deep Love
首に回した智君の手が、俺の背中を叩く。
俺はその時になって、息をする間さえ与えずに、我武者羅に咥内を蹂躙していたことに漸く気付いた。
ゆっくり唇を離し、肩で息をする智君の頬をそっと撫でる。
「ごめん、つい夢中になりすぎた…」
「構わないよ…。それに、今に始まったことじゃねぇし…」
頬を朱に染め、仄かに潤ませた瞳が、俺の劣情を煽り立てる。
「君が悪いんだ…。優しくしようと思ってたのに…、君が…」
智君の瞳がまるで瞬くことを忘れてしまったかのように見開かれる。
でも、その奥にはしっかりと“欲”の色が浮かんでいるのを、俺は見逃さない。
「智…」
普段は呼ばない呼び方で名前を呼んで、その額にキスを落とせば、君はもう次の刺激が欲しくて…
「翔、早く欲しい…」
幼子のように頬を膨らませ、可愛く強請るんだ。
だから俺はそれに応えるように、細い首筋にかぶり付き、浮き出た鎖骨の窪みに舌を這わせた。
「焦らすなよ…」
俺の下で、左足がモゾモゾと動いているのが分かる。
「まだだよ? じっくり智を味わいたいから…ね?」
意地悪なんかじゃない。
限られた時間の中でも、その身体に俺の存在を焼き付けたいから…
愛し合った証を残したいから…