第6章 高潔の人。
カランカラン。と店の扉が開いた。
「いらっしゃいまし。」
青年。と呼んでいいだろう。
きちんとした身なり。
それなりの階級はあるだろう青年が一人でやってきた。
どうせひやかしだろう。
「すまない。サファイアはあるか?」
グルリと店の中を見周る前に声をかけて来た。
「どのようなサファイアをお探しでしょうか?」
「ネックレスか、指輪。」
「では、こちらへ。ご希望の大きさなどはございますか?」
彼女への贈り物を探しに来たのだろう。
ふん。
ここでは高くて買えないよ?
「そうだな。親指の爪ほどのカットはあるか?」
「でしたら。こちらなど如何でしょう?」
出した所でまた戻す。
面倒面倒。
だからと思ってこの店で一番高いサファイアを出してやった。
「ネックレス?」
「チョーカーでございます。指輪に付け替える事も可能な物ですが、如何いたしますか?」
ふん。
ネックレスとチョーカーの違いも分からんか。
これだから若造は。