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サファイアと大泥棒と毒を盛った皿と日誌。

第1章 僕?




同じ場所に座ったまま、光が消えて真っ暗。
僕はここで次の光を待つ。
人もいない、でも、ときどき、僕に目もくれないで歩いていく一つの光が通る。
そして大きな声で言うんだ。

「異常ありません!」

て。
なんだろうね。この人。
しんとするこの時間があまり好きじゃない。
寂しがり屋なのかな。
おしゃべりする声と人の視線が集まるのが好き。
光も好き。

「んっふふ。俺のお宝ちゃーん。おむかえでちゅよー。」

あわわ!浮かんだ!
誰!?

「だ、誰だ!」
「俺は、狙った獲物は逃がさない、神出鬼没の大泥棒。ルパン三世。こいつぁ、いただいてくぜぇ!」
「侵入者!侵入者!とっ捕まえろ!」

突然わぁわぁとたくさんの人が現れる。
チカチカする光で照らされるのは、たくさんの怒った人の顔。
あれれ。僕、本当に浮かんでる。
あら!暗くなった。

「ぐっふっふ。お宝ちゃん、いらっしゃい。」

もしかして、僕をあの場所から連れ出してくれたの?
僕の願いが誰かに通じたのかもしれない。
嬉しいな。
僕はこれからいろんな世界を旅するんだ!

「なーんだ。拍子抜けじゃねぇか。予告状が届いてなかったんじゃねぇのか?」
「うーん。そんなこたねぇと思うんだけどな。」

もう一人声が聞こえる。
んぱっ!外だ!
顔が二つ。
この人たちが僕を連れ出してくれた人たちか。
これからよろしくね。
僕は、うわっと!

「ルパァ~ン!この銭形から逃げられると思ったかー!?」
「とっつぁん!」
「やっぱりいるじゃねぇか!」
「にげっぞ、次元!」
「あいよ!」
「まてーーー!」

なんだなんだ!揺れるぞ!凄い揺れる!
こんなの初めてだ!
楽しいぞ!
そうそう、僕は。
生まれはミャンマー、色はロイヤルブルー、大きさは卵ほどで、ディープシーブルーエッグサファイア、日本語だと、深海の如く深い青の蒼玉卵っていう名前。
長いね。


気軽に「サファイア」とでも呼んでよ。




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