第3章 自分らしく
それとも……
私だけが、あんたの事を解らないのかもー……
大きな手が額に優しく触れる。
それと同時にフラッシュバック……
私のメモリーが頭の中で高速に流される。
「痛い゛ッッッッ」
「あッ…、あぁ゛ッッッッ!!!?」
酷く頭が痛む。
耳鳴りが止まない。
嫌ッ…
そんなッ…事をッ…言わな、で……ッ
嫌…だよ…
『愛してる…、雫…』
『またな…また、初めからだ』
『何回でも…貴様の為に…やり直してやる』
『突き放す様な言動をして…ごめんな』
ま…た……?
何、を…言って…?
解らな…い……
それなのにー……
どうして?
こんなにも愛しく感じるの?
「…あ、りが……」
「ま……ね…、……して……」
薄れいく姿のあんたに手を伸ばして
綺麗な髪に触れる。
思い出せているのかも
しれない
けど
思い出せていないかも
しれない。
『雫……、会いに行く…』
『必ず…、だ』
『雫は……自分らしく生きれば良い』
『…一緒に生きていかなければ…成らないけども…』
『それでも…我は支えていく』
優しく、泣きじゃくる子供を宥められる様に囁く。
「愛してるー……」
その言葉の意図は、自分でも良く解らなかった。
それでも……
私はこの人に囁く…
何度も、消えいく意識の中でー……
自分らしく
振る舞える、のかな
……違う
振る舞わなくては成らない、のよ
言われた…じゃない…
愛しく
憎たらしい
あんたの為に
私は私と戦うよ。