第25章 そうだ、旅行に行こう。〜2019.8/18〜8/19〜
「盆は2人とも仕事ですか…」
私より後に出たシフトをカレンダーに書き込んだリエーフは2人のシフトを見ながらはあとため息をついた。
寒かった梅雨を過ぎ、いつものうだるような夏の暑さが始まった7月下旬。
暑さに負けて、帰宅してすぐにTシャツと黒のダメージパンツを脱ぎ捨てタンクトップと下着1枚になったリエーフを夕飯を運びながらたしなめる。
『流石に下着姿ではご飯食べさせないからね?』
「だって暑いんすもん…」
汗だくでぶーたれるリエーフは机の上の夕飯を見ると、先程までの表情を引っ込めにかりと笑った。
「冷やし中華っすか!!下履いてきます!」
そう、本日の夕飯は冷やし中華。
リエーフが帰ってくるまで冷蔵庫で冷やしておいた麺と具材は冷え冷えに冷えている。
他にもみょうがと余ったきゅうりで作った浅漬けや、もともと揚げるだけにしておいた一口カツも美味しそうに揚がっている。
麦茶と氷を入れたコップをキッチンから持っていけば、部屋から戻ってきたリエーフがダイニングの椅子に座り今か今かと私がくるのを待っている。
『じゃあどうぞ?』
「っ!いただきます!」
ぱちんと手を合わせたリエーフは、勢いよく冷やし中華を平らげていく。
暑いからかヘアバンドで前髪を上げ、襟足をゴムで括っているリエーフは正直言って可愛い。
ずるずる、はぐはぐ食べるリエーフに麦茶を注いであげると、うっくんっと口の中のものを飲み込みお礼を言って私からグラスを受け取った。
自分の麦茶を注いだ頃にはリエーフの器は半分の量。
リエーフは2人前だったのになぁ。
なんて思いながらくすりと笑うと、不思議そうな顔をしたリエーフがこちらを見る。
『なんでもないよ。私も食べよ!』
いただきますと両手を合わせれば、先に食べているリエーフが召し上がれと声をかけてくれる。
幸せだなぁ。