第6章 トッティの憂鬱
トド松視点
今回の合コンは、大失敗に終わった。
自分が先陣を切って女の子と仲良くなり、兄さん達を最下層から引き上げるべく参加したこの合コンで得たものは…
『なにもなし男』
このあだ名のみ!
情けなさすぎて笑えてくる。
やっぱり、一軍のあつしくんは呼ぶべきではなかった。
若者が車離れしている昨今で車持ちとか、あつしくんハンパない。
ト(兄弟の中で一番マトモなボクですらこの失態。やっぱりワンランク上に行くためには働くしかない。はぁ…働きたくないけどモテたい、ヤリたい…)
駅の改札を出てトボトボと歩いていると、見覚えのある姿が目に入る。
ト(あれは…主ちゃん!?)
主ちゃんは、ボクがスタバァで一緒に働いていた仲間である。
僕が入ってから一週間で先に辞めてしまい、ほとんど会話も出来ずにいた。
ト(確か、実家がケーキ屋で手伝いをするために辞めたんだっけ?ずっと仲良くなりたかったって悔いはあったけれど…)
よりによって、プライドも体裁も破壊し尽くされた合コンの後に会ってしまうなんて…。
ト(…気づかれないように距離を置いて歩こう…)
はじめはそう思った。
だけど…
ト(…危なっかしいな。けっこう酔ってそう)
遠目に見てもフラついているのが分かったので、心配になり話しかけることにした。
ト「ねぇ、ちょっといいかな?主ちゃんだよね?大丈夫?かなり酔ってるみたいだけど」
主「ふぇ?誰ですかー?あっ!もしかしてスタバァにいた…トッティ!?」
ト「久しぶり!大分飲んでない?」
主「うふふふ、へーきへーき!!」
ト「平気じゃないでしょっ。そこの公園にベンチがあるから、少し休みなよ」
彼女の肩を支えながらベンチに着く。とりあえずは座らせ、近くの自販機に水を買いに行った。
ガチャンッ
取り出し口から水を取り出す。
ト(まさか合コン帰りにこんな展開になるなんて…!落ち着けボク!ここは努めて余裕があるフリをするんだ…!)
軽くガッツポーズを取った後、彼女の元へ向かった。