第10章 デート編 一松くんのドキドキデート日和
一松視点
誰よりも早く朝飯を食い終わり、食器を流しに置いた。
一人部屋に戻ると、お気に入りのTシャツを着て、ハーフパンツを履く。
お次は洗面台の鏡の前、死んだ魚の目と見つめ合いながら歯を磨き、なんとなくクソ松の櫛を借りて髪をとかしてみた。
…ちょっとだけ寝癖が直った…かも。
(ワックスもつけてみるか…)
指先にワックスを取り前髪にチョンとつけたけど、これは失敗。
鳥のフンがかかったみたいになった。
髪を手ぐしでワシャワシャして元に戻す。
(こんな感じでいいかな…つか結局いつも通りだけど)
鏡の自分にニンマリ笑いかけてみる。
…人を呪い殺しそうな笑顔だった。
決して笑うまいと心に誓い、時間に余裕がないのを思い出し、洗面所から出て玄関へと向かう。
(いつもの便所サンダルじゃあ、カッコつかないよね)
遠出するし。
…デートだし。
玄関の下駄箱からビーサンを取り出していると、ニヤつくクソ共が居間から出てきた。