第58章 過去の時間(殺せんせーversion)
「柳沢さんがあなたの体に何をしたのか、私にはわからないし止めもできない。けど……どんな形にも自在に変われるその触手は……あなたがどうなりたいかを映す鏡かもしれませんね」
「私の……?」
「きっとそう。もしも平和な世界に生まれてたら。あなたはちょっとHで頭はいいのにどこか抜けてて、せこかったり意地張ったり・・・そんな人になっていた。優しい笑顔もビジネスじゃなくて、あなたは本当に優しい人」
殺せんせーは触手のうねった指で照れくさそうに頭をかく
さらに彼女の話を沢山聞いた
新しいE組が入って来た話
役者をしている自慢の妹がいる話も
「・・・妹の写真?持たないようにしているの。子役から大人になる時期には・・・皆の目に触れずに休眠する期間が要るんですって。だから、私がその邪魔をしたらダメ。生徒達も妹も温かく陰から守ってあげたいんです」
人間とは活かすもの
弱者とは育てるもの
「死神」の知らない世界だった
「明日、結愛帰ってくる日で、こっち来てくれるみたいなの!でも、この日のプレゼントには間に合わないから、私が選んだの!」
「……プレゼント?」
あぐりは箱を開ける。