第56章 正体の時間
(カエデ・回想)
ただ迎えに結愛と行っただけだった……
積もる話をする約束でね。
「結愛までごめんね~。お姉ちゃんのお迎え。お店いっててよかったのに。」
「ううん。あぐりんに、来てねって言われてたし、あかりんにも会えるし!嬉しいよ!」
お姉ちゃんと結愛は仲がよく、前に、お姉ちゃんは結愛を研究の仕事に連れていったことがある。連れていくというより、お手伝いを結構頼んでいた……だから、結愛は、実験台になっている人の事をよく知ってるみたい。ちょくちょく手伝いにいってたからね。
昼間は教師のお姉ちゃん……
夜に手伝っているという研究所まで
いろいろあってやたら警備が厳重だ。
役者業は事務所の意向で長期休業中。
結愛はモデルとして活動してるけど、
変装がうまくて、モデルの結愛とは分からない。
それにても、誰も私に気付かないし、私は……この方が楽だなと考えていた。その直後……
突然の大爆発
壁は吹き飛び
警備の人は右往左往
私と結愛は、じっとしてれるわけがなかった……。
小さな体は大人より早く潜り込めた。
目に入ってきた光景は
息絶えた姉と
血を弄ぶ触手の怪物……