第11章 真実
超常黎明期
それよりも、数年ほど前…
一人の人間は、超能力を超える力を有していた。
後に、恵土が有することになる個性…
『全てのエネルギーを、自在に使役する力』だった。
それは…
何をも、自由に思うがままにできる力だった。
だが、それが自然だと本人は思っていた。
「傷付けないようにすれば、大丈夫だよね!^^」
そう思って、心底大事に接していた。
しかし…
その力による影響は、思いもしない形となって現れた。
『誰もいない所で話してない?』
『独り言じゃないよね、あれ』
『気味が悪いよ、あっちいこ』
『でたらめ言ってるだけだよ』
『何か仕掛けでもあるんじゃねえの?未知との遭遇とか♪』
『ぎゃっはっはっはっはっ!』
嘲り笑って、バカにする。
信じない方がいいと、互いに言い続け合っている周囲。
それに対し、自分には誰も…
理解しようとする人は、一人さえもいなかった。
エネルギーとは、思念もまた含まれる。
幽霊もまた、僅かながらにエネルギーを有している。
幽霊とは、幽界…
あの世に行くため、この世の空間とは異なる空間の存在となる。
そのため、幽霊は人や物質には影響を与えらず
この世の理、重力などにも関わることはない。
(強過ぎる思念やこの世に対する執着があれば
その念はによって影響を実現できるが)
しかし、それらをも感じ取れた。
そのためか…
ヒトが有する心や魂が見えるが故か……
とても醜く、どす黒く歪んだそれら以外
何も…
何も、見えなかった。
母「もういや;
何で、この子だけが変なの?」
泣き崩れる母
父「大丈夫だ。
ただ、人より感じやすいだけだろ」
母「でも、さっきだって…
思ったことを、そのまま読み取ったのよ!?」
実の子でありながら
それに対して向けられる両親からの目は
親戚たちの目は、共通していた。
それは
ヒトではない
『異物』を、視る眼だった―